点子がゆく

映画や自転車や温泉の話をするブログです。

ターナー

映画『Mr.ターナー』を観た。
風景画はいつも素通りする。OPAMで観た作品でターナーの出す世界観に圧倒された。
霧や空気などの目に見えないものを描くなんて、凄い。物って光がないと見えないんだとかんじた。
水分を含んだ湿っぽい空気をどうやって描くのか。

そんなターナーさんの映画てした。
絵も凄いが、人生も尋常じゃない。
芸術家はノーマルでないんだなぁ。

ターナーの家に、うるさいおばさんが来たと思ったら奥さんだった。
奥さんや子供に金銭的援助をせず、孫を抱くわけでもなく、ひたすら描くことに全身全霊を捧げるターナー。妻が口うるさいおばさんになっても致し方ない、そんな夫だった。

自分の性欲のまま、家政婦さんは彼女の気持ちは無視して、自分の都合で関係を結ぶ。身分がはっきりしているからか、奴隷船の奴隷のように人権を無視していた。
それでも、ただターナーに尽くすだけの彼女がターナーに別宅があり、次女を誘い出し、尋ねていく行動力にはそれだけターナーは魅力的なのかも。
家政婦さんのいつも汚れた顔、赤く痒そうな首筋。
でてくる人物が決して美しすぎない。19世紀のイギリスにふつうにいそうな人々の顔。
あの当時、風呂に毎日入っていなかったあであろう空気感。
描くことだけが全てだったターナーの人生。
晩年に知り合った宿屋の女将が束の間に安息を与えてくれたのが救いだ。

ターナーは素晴らしい作家だが、お友だち止まりでいたい、映画を観るくらいがちょうどいいかなぁ。