点子がゆく

映画や自転車や温泉の話をするブログです。

ボーダレス ぼくの船の国境線

f:id:tenkochaniine:20151219225859j:imageイランイラク戦争時のイランとイラクの国境沿いの廃船でのこと。
映画を観終わり、イランとイラクの位置を地図で探した。
何語を話し、
首都はどこか?
それから歴史
現代のことなのに、知らないことだらけ
映画では、ペルシャ語アラビア語と英語がとびかう。

廃船で生活している少年。
たくましく生きている彼の太い眉毛。
真っ向から見つめる瞳
彼はどこからともなく、自転車できて、川沿いの背が高いアシみたいな植物に自転車を隠す。
国境沿いの危険地帯を警戒しながら、
泳いで?
潜って?
廃船にたどり着く。
そこで魚を捕り
貝殻細工を作り
また川岸に戻り自転車をこいで、魚と貝殻細工を売る。
家族は出てこない
少年ひとりで、彼の日常が淡々と描かれる。
ある日、彼の基地である廃船に彼と同じ年頃の侵入者がある。
それも銃を持った外国人。言葉のが通じない。
廃船に勝手に国境線として紐を引く。
入って来るなという。

銃を突きつけられても日常を脅かされ、彼は抵抗する。

自分の陣地に青いペンキを塗る。
ペンキの上に足跡。
干物にしていた魚の代わりにイラクのお金。
ふとしたことから侵入者が少女だとわかる。
赤ん坊を連れてきた少女。
少女の国は戦争しているのだろう。家が空襲にあい、赤ん坊の兄弟と着の身着のままで逃げてきたんだろう。

赤ん坊とは不思議なものだ。
赤ん坊をキッカケに少女のかたくなな心が溶けていく。
赤ん坊を可愛がることで2人の距離が縮まる。

まるで家族のように、少女と少年で赤ん坊を育てていく。
あ、これってどう「愛なんだ」

やっと訪れた平穏な日々に闖入者。アメリカ兵。
勝手知ったるマイ廃線でアメリカ兵を閉じ込めてしまう少年。
閉じ込められて心身ともに弱っていくアメリカ兵に少年は水をあげようとするが、アメリカと戦争している国の少女はそれを許さない。
命の水をキッカケに赤ん坊と少女と少年とアメリカ兵は廃船のなかで穏やか時を迎える。
廃船が漂う川の向こうでは戦争と呼ばれる人殺しがされている。

落ち着いてた時間の中で少年はまた、物資の調達のために陸に戻る。

大人であるアメリカ兵と赤ん坊と少女だけにしていいのか?
不安がよぎる。

少年が戻ると部屋に入る鍵が壊されている。
廃船のなかにはアメリカ兵も赤ん坊も少女もいない。
廃船に流血はなく、
少女と少年が戦っていた頃の少女の足跡が残っていた。
あの足跡は誰かが勝手に干物をもらったよと知らせるだけでなく、ラストにも活躍していた。
血が流れたり、死体がでできたり、人が殺されるシーンが出でくるわけでないのに、
戦争は人殺しなんだ。
戦争を救うのは「愛」しかない。
そんな映画でした。
セリフが少ない分、
目を見開き一瞬たりとも逃すまいとみた映画。
中東の極一部かもしれないが、
触れられたキッカケになった映画。