潔い生き方
実家の押入れを片付けた。
子どもの頃使ってたタオルケットや懐かしい柄の布団
初めてお目にかかる羽毛布団の数々
表がネット風の掛け布団カバー
四捨五入すると90になる母と2人では感傷的になると作業が進まないだろうと、
有料で他人に手伝ってもらった。
「いる」 「いらない」
を区別していた。
「嫁入り布団だ」
母の声。
「もう使わないからいいわあ」
そう言われて、ゴミ袋に入れた。
「嫁入り布団」この布団にそんな歴史があったんだ。
おじいちゃんおばあちゃんが母が結婚する時にもたせてくれた。
そんな事実を聞かされると、ゴミ捨てする袋に入れたものの捨てることに罪悪感がうまれた。
ゴミ捨ての日にもう一度母にいらないかた尋ねた。
「もういい」
そう言われても、踏ん切りがつかない私。
最近は羽毛布団が主流で、実家ではもう使わなくなった布団だ。
「(夫である私の父親)がいないから、もういらないわあ」
こんなに潔く捨てるのを肯定する母が羨ましい。
私が80代になって、こんなに潔く生きられるかなぁ。
一旦は布団をとってこうとした私には
はるか彼方の話のようである。