おじいちゃん、夜中に散歩行かないで‼︎
去年の4月に圧迫骨折をして体力が落ちたようなので、散歩を勧めた。
夏になると、散歩が定着して、家族が寝てる間に散歩を時々していたようだ。
「まだ空が暗いけど、
散歩という目的があるし、
ちゃんとうちに戻れるから、徘徊ではない」と思っていた。
デイケアから帰って夕方にも散歩をするように言うと、真面目にしていた。
夏が過ぎ、段々と日の出日の入りが遅くなったころだ。
日が落ちた頃に夕飯の買い物をしに自転車で家を出た。
自転車を走らせ、二つ目の角を右折したときだった。
右手の足元に何かいる。
自転車を走らせ、通り過ぎて気づいた。
「あ、じいちゃんだ」
うちのじいちゃんが通りぎわの家の玄関先にうずくまるように座っていた。
門がない家なので、玄関は道路に隣接している。
「危ないなあ」
脊椎の狭窄症のせいらしい。
間欠性跛行?
歩くと休む、歩くと休むの状態なのだ。
それからは暗い時の散歩はしないように話した。
と言っても
一度、頭に「散歩しなきゃ」と思いがよぎると
夜中でも空が暗かろうと何時であろうと、関係ないようだ。
口で説明しても、夜中にトイレにいったときに散歩スイッチが入ると 勝手に出て行くが繰り返された。
チェーンをしててと、鍵をかけてもダメだ。
散歩の時だけ杖をつく。杖の先が道路にあたり、カンカンとなる。
住宅地の静寂の中
杖のカンカンする音
あ、じいちゃんが出ていった。
真夜中に夫を起こし追いかけていったこともあった。
業者に頼むとすぐに一万、二万となる。
チェーンが外れないように、チェーンに鍵をかけた。チェーンの穴に入る細い鍵が千円もしないであった。
それ以来、夜中の散歩は無くなった。