点子がゆく

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恋におちて

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ドキドキしたくて、なつかし「恋におちて」を午前10時の映画祭で観た。

この企画、何度か観に行くがこんなに観客が多いのははじめて。

みんなドキドキしたいんだなあ。
昔みたいにドキドキしたいんだなあ。

ペアもいる。     女同士の友だち
男、女のひとりもいる

色白で鼻が高くて、口の小さい、時々くちが軽く空いてるメリルストリープとディアハンターなどハードなイメージのデニーロの2人が恋におちる。


苦手な外人顔の、メリルストリープが美しい。
登場シーンの髪のアップがよく似合う。
美しい。

彼女は歌もできれば、ミュージカルにもでて、お化けにもなり、なんでも演じれる怪物みたいになったメリルストリープ。
クレーマーvsクレーマー」では主役のダスティンホフマンを困らす嫌な元妻の役。
どうもイメージが悪い。
彼女ってこんなに綺麗だったのと思わせる映画。
電車の中でキョロキョロしながらデニーロを探す顔。

ヒューストンに旅立つデニーロからの突然の電話に動揺しつつも、きっぱりと夫に外出を告げて車に飛び乗る。

会いたくて、会いたくてフルスピードで彼の家に向かうが、アクセス全開で踏切を超えるつもりが、電車が来て急ブレーキを踏み我にかえる。

「私って、何してるのかしら」

心を溶かすような雨が降っている。

時が流れてクリスマスイブ。
ひとが多いニューヨーク。

書店で、偶然再会すると、自分から声をかける。
あの夜のこと、会えずに終わった
あの夜の弁解をする。
未練たっぷりで話をつなごうとする。

ぎこちない会話のなか、家族とうまくいってるらしい彼に、離婚を悟られないように装う。

「残念、もう終わったのね。」
グッバイを告げ、後ろを振り向きたいが前を歩くしかないメリルストリープ。

意を決して電話したのに「話したくない
から、寝た」
と、言われたままのデニーロが
グッバイの後、後戻りする。

あんな大人数が歩いている街で、この電車に乗るとは分からないだろうに、一か八かデニーロは乗り込んでいた。

電車で彼を見かけたメリルストリープ。
小さいお口、半開きになる。
再会して、静止。 
キスまで行かず、デニーロを見つめるメリルストリープのアップでの静止。

この後のことや会話や再会のキスなど全てを語らずにメリルストリープのアップで終わる。

まだ携帯電話のない時代
肩パットが入った服を着ている。

携帯電話がなくて当たり前。

ないからこそ、次にいつ会えるか、ドキドキしながら声をかけるデニーロ。
デニーロが不器用に自分からアプローチする。

ドキドキする気持ちは一緒。
ひとを好きになるのは時代に関係ない。

電車が重要な役割をするので、初めと終わりは線路の音のようなリズミカルな曲が流れる。

苦手な顔のメリルストリープだが、観たくて行ってみた。

ダブル不倫だが、メリルストリープが友だちにはじめての恋心のように胸のうちを告白する。

あんなにひとを好きになったことはないと言う。
生涯ただひとつの恋のように、乙女になって告白する。

夫とも恋愛だったであろうに。

ひとを好きになってときめき、ドキドキした経験は誰でもあるだろう。

右隣に座った中年おじさんの柑橘類コロンが鼻につきつつ観た。

映画が終わっておじさんはひとり帰って行った。