1001グラム ハカリしれない愛のこと
唯一おもいだしたのが、中学生の頃、
理科の授業で、ピンセットに摘んだ分銅。
あらゆる基準をはかる仕事があるんだぁ。
映画のはじまりはおもちゃの自動車が走るような整った道路を真上から撮っている映像。
主人公が乗っているのは、北欧らしくシンプルなデザインのちっちゃな青い電気自動車BUDDYに魅せられてしまいました。とてもキュートな車。
髪をきりりと束ねたクールビューティーなヒロイン。
余分なものがなく、シンプルを通り過ぎて生活感のない家。
離婚する夫が荷物運びだすのを見ても、声も掛けずに車の中から待っている。
勿論、すがりついたり、罵倒を浴びせたりしない。
埃一つない、余分なものを置かない職場のような家。
空中撮影でみんな同じ大きさのL字に並んだ家々のひとつなんだろう。
話の展開から、職場でプライベートに話していた相手が、彼女の父親とわかる。
父親の家は彼女の家と対照的なものの多い生活感の溢れる家。
父親が大病を患い、代理でヒロインが「キログラム原器」を持ってパリにいく。
この仕事、親の後を継ぐしごとなの?
父親の家への画面真ん中に道がくる映像は美しい。
タクシーからパッと画面が広がりエッフェル塔が右手に見える画面。
ひとつひとつがデザイン画のような美しさがある映像。
無機質な理科系な人生を送っていたような彼女が父の遺灰を計る。
遺灰を計り皿に乗せると、ヒトの魂 21グラム目盛りが減る。
なんとメルヘンチック、文学的。
画面の美しさと魅力的な車BUDDYに出会えた映画でした。